拳を握って立つちくわぶの魂

恋はしめさば、海はマトカ。3時のおやつは生たまご。

カレーを作る話

今日は母が1日留守にする日だった。その上、上の妹はアルバイト、下の妹は塾と、家にいるのは私しかいない。つまり、昼食も夕食も私が用意しないといけないということだ。

昼食はレトルトのパスタソースの試供品がたまたま3つあったので、パスタを茹でてそれをかければ良い。問題は夕食だ。こういう時、私は面倒なので大体カレーを作ることにしている。ハヤシライスだったりシチューだったりすることもあるが、作り方はたいして変わらない。

私はカレーパンは大好きだが、辛いものは苦手である。そのためインドカレー屋に行くときは必ず辛さ0で注文する。辛くなければカレーはとても美味しい。しかし、家の人はなぜか私以外は皆辛いものが好きなので、カレールーも当然中辛以上しかない。これすら譲歩であるので、私がいない時のカレーは普通に辛口である。

ここで私は、少しでもカレーを辛くなくするために抵抗を試みる。その手段とは、蜂蜜である。カレールーのパッケージにも隠し味に蜂蜜を入れる場合はこのタイミングで入れるように指示書きがあるので、これはおかしくもなんともないことだ。かつて推しのコラボメニューがカレーうどんだったためにフードコートに蜂蜜を持参した人間は、たとえ他の人間が辛党であろうと容赦なく蜂蜜を入れる。何しろ作るのは私だ。

しかし蜂蜜の入れ過ぎには気をつけなければならない。かつて中辛のルーすらなく、辛口のみでカレーを作るように言われた私は蜂蜜を大量にブチ入れた。何度試食しても辛かったので、気が済むまで蜂蜜を注いでは味見し、注いでは味見をした。結果蜂蜜の強烈な甘さで辛さへ意識を向かせないようにするという代物が完成したことがあったが、大層に不評だった。それは次の日に甘くしすぎたカレーを辛くする方法を調べさせられる羽目になるほどだった。私以外の皿に醤油を入れて対応した。この時のカレーが異常に甘ったるくなったのは、パッケージに表記されているタイミングではなく、最後のルーを入れた後に煮詰めるときに入れたからだと思われる。

ということで、カレールーを入れる前の段階で蜂蜜を入れる。水を注ぐときに一緒に蜂蜜を入れるのだ。今日はとりあえずスプーンにして3杯を入れることにした。いつもは1杯が関の山であるが、今日はこのくらい入れても良いだろう。私のささやかな抵抗はこうして成し遂げられた。

いや、正確に言えば、中辛と辛口を混ぜて使えと言われたにも関わらず、いつもの中辛と、たまたま残っていた中辛だがもう少し辛さの控えめな種類を混ぜて使ったことこそ真の抵抗の遂行だろう。蜂蜜に関しては言及されていないが、カレールーに関しては言われていた。しかし、未開封の箱と、半分だけ残っている中途半端なカレールーなら、後者を使った方が古いものを残さないという点でむしろ良いのではないだろうか。

そしてカレーは完成した。「美味しい」そう妹たちは言った。勝利だ。蜂蜜を勘付かせることなく、カレーの辛さを和らげることに成功した。あとは、明日母が食べたときに何と言うかである。

まあ、蜂蜜を入れたところで私にはまだ少し辛いので牛乳が必需品となるのだが。家庭科の授業で、カレーの辛さは乳製品で中和できると高校時代に習ったので私は律儀にそれをやっている。だからインド人はラッシーを飲むのか。