拳を握って立つちくわぶの魂

恋はしめさば、海はマトカ。3時のおやつは生たまご。

愛月ひかるさんのサヨナラショーを観た話

今日、2021年11月1日の13時から、星組公演『柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!』の配信があった。そしてこの記事の通り、愛月ひかるさんのサヨナラショーも、千秋楽の今日だけはあるのだ。ついに宝塚大劇場を卒業してしまった。格好良くて芝居の上手いスターだったので大好きだった。宙組から組み替えして以降も舞台写真もポストカードもブックマークも買っていたので、退団記念に発売されるものがあれば絶対に買おうと思っていたのだが、出るとしたらこれからだろうか。舞台写真と音源は発売されると思うのだが、退団前に写真集とか出さないのだろうか。出るなら私は買う。退団記念DVDとかも。

さてサヨナラショーというのは、限られたスターにしかできない、これまでのタカラジェンヌ人生の振り返りだ。トップ、トップ娘役、2番手くらいしかできないので主役の持ち歌は色々ある。そんな色々な曲がある中でどの曲を歌うのかというのは、どのタカラジェンヌが卒業する時にも気になるところである。最近なら、紅さんのサヨナラショーは紅子も出演し、『ANOTHER WORLD』のありがたや、なんまいだで〆るという面白い構成だったという記憶がある。面白かったので繰り返し観たりもしている。愛月さんは新人公演主演4回、バウ主演1回、東上主演は2回。そして本公演。壮一帆さんが退団する雪組の曲で揃えたりもしていたし、星組の曲だけで揃えるのか?とも思っていた。花乃まりあさんが宙組時代のWMWの曲を歌っていたので、別に退団する組の曲しか使ってはいけないということはないと思うが。WMWが好きなので印象に残っているのである。

サヨナラショーが始まる前、どころかまだモアダンのパッションのシーンで金色の花を胸元につけているところからもう涙腺は緩んでいた。退団するんだ、ということは分かっていても、それでもやはり、胸に花が着くといよいよその時が来たのか、と実感する。金曜日に観劇に行った時も、東京には行く予定がないのでこれで生愛ちゃん最後なんだ……と泣きながらパレードを見ていた訳だが、自分が観られるのが最後という時と、その場所に立つのが最後という時はまた違う寂しさがあるのだ。

そして組長さんによる愛月さんのコメント紹介。ここでなんと大空祐飛さんの名前が出てくる。補正なしでシャツを着られる体格は武器になると言ってもらったというエピソード。こんな最後の最後に祐飛さんの名前が出てくるとは嬉しい予想外。出てきた瞬間に、これは母に報告しなければと思った。母が祐飛さんのファンだったことが私の宝塚人生のスタートなので。始めて新人公演主演をしたときのトップスターだし、祐飛さんの時代に3回も新人公演主演をしたし、トラファルガーでは息子役を演じたし……結構こうしてみると関わりも多かったのだろうな。金沢さん、ラスプーチン、プガチョフ、死ちゃんなど、好きな役もたくさん。あのプガチョフですらもう2年も前のことだと思うと、時間が過ぎる早さを感じる。

いよいよ始まったサヨナラショー。1曲目はなんと、『誰がために鐘は鳴る』より、「幸せの鐘の鳴る日」だ。もうここで泣く。イントロで泣く。聞き覚えのあり過ぎるイントロがなった瞬間に(誰がため!!!!)と心の中で叫び、乙女のように口を出て抑え、思わず立ち上がった。家での配信というのは誠に便利である。別に誰もいないし心の中でなくとも良いのだが、つい声にすることを躊躇ってしまうのは何故だろう。そうか、初主演のこっちで来たか。新人公演の曲は万が一あったとしても、よく好きな台詞に挙げている「春の桜と秋の紅葉〜」のある『美しき生涯』の方からかと思っていた。そもそも主演作品も多いし持ち歌も多いから新人公演の曲はないだろうなと思っていた。

そして2曲目は、初舞台の『シークレットハンター』から。あのオレンジ色のお魚ロケットね。初主演からの初舞台とはエモい。久しぶりにシークレットハンターを観たくなったな。

3曲目は最後の別箱『マノン』から。これあさかな版も観ていないからわからなかったのだが、黒燕尾なので多分マノンの曲なのだろうなと理解できた(どうせこの後も主演たくさんだろうしとマノンの配信を買わなかったのが悪い)。観て!大劇場の大階段で、愛ちゃんが男役を率いて0番に立っている!!最後にこれを観ることができて良かった。花組の瀬戸さんの時も思ったが、サヨナラショーでトップの位置に立って大劇場の大階段の0番で踊るのは感慨深い。本当によかったね、と思える。しかし、怒涛の「よかったね」はこれだけでは終わらない。

4曲目は同名ショーから退団者たちによる「ブーケ・ド・タカラヅカ」。愛月さんがまだ組み替えする前のショーだし、何故この曲?と疑問を抱いたが、この疑問はすぐに明かされる。5曲目はそう、あのずっと「おとめ」に演じたい役として書き続けてきた『うたかたの恋』だ。中日劇場の最後の公演の時にうたかたとブーケドの二本立てだったことを思い出せば、なるほどそういう理由でブーケドだったのね、と納得。タカスペでかつて舞空さんとしたデュエットの、大劇場での再びである。

『モアダン』でも「ゴールデン・デイズ」の場面は、ずっとルドルフを演じたいと書き続けた愛月さんのために、白い軍服の場面を入れたとインタビューで語っていた。岡田先生の愛にあふれたこの場面に、なるほどこれが愛月さんのルドルフなのねと納得したのだが、ここで本物のルドルフの衣装を、しかも大劇場で愛月さんが着た姿を観られるとは、サプライズにも程がある。目に白い軍服が飛び込んできた瞬間の(え、アッ、うたかた……!!)と声にならない叫び、衝撃と歓喜。終演直後に出されたニュース記事でも舞空さんとのこの場面の写真を使われていたが、これまでの愛月さんの『うたかたの恋』にかける熱を知っていれば、このシーンに何も思わないわけがない。私はもう画面を観て歌を聞くために、涙を拭いつつ嗚咽を抑えるしかできなかった。なんなら今この文章を書きながら思い出し泣きをしているくらいだ。おめでとう、良かったね。この大劇場で、本物のうたかたの衣装を着て、トップ娘役さんとデュエット。この場面だけでも、今日の配信買ってよかった!!と思える素晴らしいシーンだった。配信組のただの愛ちゃん好きの私でさえこれだというのに、現地で生で観た愛月さんファンは大丈夫だったのでしょうか。このあたりでもうティッシュじゃダメだなと思ったので暗転した隙にハンカチを取りに行った。同じ部屋なのですぐそこ。

うたかたは銃声まで鳴り響き、続いて6曲目は退団者、礼さん、愛月さんの歌い継ぎの「You are My Sunshine」だ。歌詞は星組の『Ray』バージョンなので、『ファンキーサンシャイン』慣れしている私には新鮮だった。同じ宝塚のショーでも、演出家が違うと歌詞も変わってくるものだ。

愛月さんの最後の衣装は、真っ白で裾にモコモコした素材が付いていた。単に白い衣装だからという気もするがこの衣装を観た瞬間に、『不滅の棘』のエロールことエリーを思い出した。のだが、最後の曲は正しくその『不滅の棘』より、「スタアは必ず甦る」の台詞を引っ提げて「スタア誕生」。バンバンで〆るのか!『不滅の棘』を象徴する白い衣装に皆が身を包んだこの時、そしてこの台詞。最高に相応しい場面だ。楽しく終われるし、良い曲だ。スカイステージの退団番組のタイトルも『不滅の愛をあなたに…』だが、この番組名を決める時には既にラストの曲はこの曲に決めていたのだろうか。というかこのタイトルって誰が決めるんだ?

とにかく最高のサヨナラショーでした。あの『うたかたの恋』も歌い演じ、もう思い残すことはありますか?というくらい、私は満足。ありがとう岡田先生。

同期によるお花渡しは宙組の芹香斗亜さん。芹香さんが出てきた瞬間に愛月さんもニッコニコで、2人で話しながら花を受け取って、じっと見つめあって。かわいいね。音楽学校生にいた頃からの仲良しで、同じ組にいた期間は短かったけれど、その間にもアヒルちゃんをお風呂に浮かべて遊んだエピソードがあったりして、お互いの初配属された組を交換したように今は在籍していて。ムラの方はまぁほぼ確で来ると思っていました。胡蝶蘭白薔薇の縦に大きいブーケは、愛月さんが背の高い方なので、それもあってかかなりの迫力。やはり愛月さんは白が似合う。

「男役に完成はない」と、最後まで男役を極め続けるという決意表明をした挨拶。とてもかっこいい。そして、「宝塚への愛だけは忘れたことがない」という言葉。これがあるから愛月さんのことは安心して好きでいられるし、グッズも買える。これまでもこれからも、ずっと宝塚を好きなあなたでいてください。そうであれば思い出の中の人になっても、いつまでも忘れられないスタアとして輝き続けてもらえるので。

礼さんの挨拶の後は、毎回恒例、退団者の一言タイム。「星組生として卒業できることを誇りに思います」という言葉。ファン時代から星組ファンで、星組で初舞台を踏んで、タカラジェンヌ人生の長い旅路の果ては星組。偶然なのか必然なのかはわからないがすごいなあ。組子として落ち着くことができたというのも良かった。華形さんとか北翔さんとかもだけど、星組さんってこういう長い人生の幕を気持ちよく降ろせる場所なのかな。

最後の歌は「さよなら宝塚」という曲だそうで。「さよなら皆様」とはまた違う曲だが、この歌はなかなか聴かない曲だ。でも、いつか再会することも歌っていたので、寂しさの中にも希望や暖かさのある良い曲だと思った。聴いたことのない曲なのだが、どの世代でよく歌われていた曲なのだろうか。

毎回恒例らしい「星組パッション」もして、幕は降りた。が、観客はまだ拍手を止めない。今日は礼さん幕前に来るかな?どうかな?と思っていたのだが、礼さんが幕前に登場。そして特別ゲスト・愛月さんの登場。こっちゃんありがとう!「こういう所に出ると面白いことをしたくなっちゃう」という愛月さん。してくださっても良いんですよ?終演挨拶の最初らへんはきっちりしていたのにここら辺になるとゆるふわトークに。ずっと敵対しかしていないという2人なので、今回ショーでは仲良く踊ることができて嬉しかったと言うが、確かに専科時代のアルジェから、眩耀、エル・アルコン、ロミジュリと敵対ばっかり。一作くらい仲良しの2人も観たかったね。タイプが真逆の2人なので、味方にしても面白い化学反応が起きたと思うんだ。そして、礼さんと踊ると自分も踊れるような気持ちになってくるという愛月さん。上手い人と合わせるとそれに引っ張られて上達する気分になるの、あるあるですよね。

緞帳前に愛月さんも連れてきてくれて、楽しいトークを繰り広げてくれたので私はもう満足です。これに文句は言えない。楽しい時間をありがとうございました。東京の配信もみるよ!

f:id:chikuwabu_soul:20211102003940j:image終演後は楽天のいつもの宣伝。来週火曜のお昼と夜に開催されるディナーショーの宣伝だ。もちろん両方とも観ますとも。